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私たちは、"移動の壁"を壊す。- 看護師がハンドルを握る理由 -
2025年6月9日

「病院に行きたいだけなのに、一日がかりになる」
「退院は決まったけれど、家に帰る手段がない」
「きょうだいの行事に、あの子も連れて行ってあげたい。でも、できない」
医療的ケア児を育てるご家族の、声にならない悲鳴が、この社会には満ちています。
たんの吸引が必要だから、公共交通機関は使えない。
人工呼吸器を積める福祉タクシーは、数が少なく、予約も取れない。
この「移動の壁」は、子どもと家族から、当たり前の日常と、社会との繋がりを静かに奪っていきます。
【 "否"へのアンサー】
訪問看護ステーションが送迎までするのは、非効率だという声があるかもしれません。
看護師はケアに集中すべきだ、という意見も理解できます。
しかし、私たちは断言します。
家の中でのケアが完璧でも、家の外に出られなければ、その子の人生は「家の中」で完結してしまう。それは、私たちが目指す「地域での豊かな暮らし」ではありません。
だから、私たちはあえて、ハンドルを握るのです。
それは、単なる「移動手段」の提供ではありません。
子どもの命と安全を熟知した看護師が隣にいるからこそ生まれる、「絶対的な安心感」という名の希望を、家族に届けるためです。
私たちの「看護師付き添い送迎」が実現するのは、こ んな未来です。
「家族の思い出を、あきらめない」
七五三、運動会、おじいちゃんの家への帰省。
これまで「あの子は留守番」と諦めていた家族のイベントに、全員で参加できる。私たちは、医療的ケア児本人だけでなく、きょうだい児の「みんなと一緒がいい」という願いを叶えていきたいのです。医療的ケア児のケアに集中しがちな時間を、他の兄弟姉妹(きょうだい児)のために使えるようになり、家族全体のバランスが取れた生活に繋がります。
就労・社会参加の継続や実現
送迎に時間を取られなくなることで、保護者が仕事を続けたり、新たに始めたりすることが可能になります。これは経済的な安定にも繋がります。
自身の通院や休息、自己実現のための時間を確保できます。
家族全体のウェルビーイング向上
保護者の心身の余裕は、家庭内の雰囲気にも良い影響を与えます。介護疲れによる共倒れを防ぎ、家族が前向きに暮らしていくための大きな支えとなります。
看護師付き送迎事業は、医療的ケア児とその家族が地域で孤立することなく、安心して生活し、その可能性を最大限に広げるために不可欠な社会インフラです。
【私たちの使命とビジョン】
訪問看護と送迎サービス。
私たちにとっては、「暮らしを支える」という一つの使命で結ばれた、不可分なサービスです。
家の扉を開け、一歩外へ踏み出す勇気。
その一歩を、私たちは最高レベルの医療知識と、温かい心で支えます。
私たちは、ただの子どもたちの「命」を守るだけではない。
子どもたちが「生きる」世界の広がりと、家族の「笑顔」の総量を、守り、増やしていく。
そのために、私たちは今日も、安全運転で、ご家族のもとへ向かいます。
それが、私たちの答えであり、揺るぎない誇りです。